第14章 メイ探偵とゴースト
「フン、くだらない茶番だったな」
誰もいない夜道に毒づいたってなんにもなりゃあしない。
ロケット団でも関与してるんじゃないかとあいつらに内緒で独自に調査してたが、ただの生徒のイタズラというくだらないオチだったわけだ。
こんなことに時間を使うくらいなら、修行でもしていればよかった。
なんて悔やむのは結果論でしかないか。
だが、オレが残っていたのも少しは役に立ちそうだ。
「おい、なにしてる?」
物陰に隠れているそいつに声をかける。オレの声に驚いた女子生徒は身体を強張らせた。血走った双眸がオレを睨む。
「寮に帰ったフリをして奇襲なんて、あんたも相当ひねくれてんな?停学が延長してもいいのかよ?」
「あんたになんかわかんない…!友達も恋人もいないあたしのきもちなんか!」
「ああ、わからないし興味もないな」
オレもどっちもいないけどな。
「あの女許さない…!彼氏がいるのに他の男にも…!しかもどっちもイケメン!」
「あいつが誰と仲良くてもあんたには関係ないだろ」
「うるさいな!あたしは正義感が強いの!邪魔しないで!」
女の目つきがギラリと醜悪に光る。そんな敵意を向けられてもこっちは痛くも痒くもない。
嫉妬の感情、叶わぬ願望への渇望、そんなもんに支配されてるうちは幼稚なままだ。
つまり、弱い。
弱いやつは嫌いだ。