第14章 メイ探偵とゴースト
「実はキミのトモダチの受け売りなんだ。サンダースはいつもキミを心配してるから。今のは少しずるかったかもしれないね」
「それは反則っ」
お互い顔を見合わせて、クスクスと笑みをこぼす。
「でも、その力はNだから与えられたのかも」
「なぜそう思う?」
「だって、ポケモンの声がわかる能力なんて、悪用しようと思えばいくらでもできる。だからきっと神さまは、心がきれいなNに与えたんだろうなって」
そう、だからゲーチスはNを利用していた。Nを閉じ込めて洗脳し、王にしてその裏でイッシュを支配しようと企んでいたんだ。
「道具も能力も、ポケモンの力も……本来は罪なんてないと思う。でも、それをどう使うかで、善にも悪にもなっちゃうんだろうね」
ポケモンの中には、人を攫ったり傷つけたりする子もいる。それでも、野生じゃなくてモンスターボールで結ばれているなら、その力をどう使うかは、きっとトレーナー次第なんだと思う。
何度も戦ってすっかり顔を覚えてしまったブレイク団の3人を思い浮かべる。あの、ゼクロムを捕らえるために改造されてしまったスリーパーは元気なのだろうか。
「Nはその力で、ポケモンと人の架け橋になろうとしてくれている。だから私、Nの夢を応援してるんだ」
「……キミは優しいんだね」
「そうかな?優しい要素どこにもなかった気がするけど」
「キミはヒトを責めるのではなく、ポケモンのキモチに寄り添おうとする。どんな存在も否定せずに受け入れる」
「うーん、私はNが思ってるような難しいことは考えてないよ?」
「グリーンやトモダチがキミをスキな理由がなんとなくわかったよ」
フッと穏やかな笑顔を見せたかと思うと、Nは指先で私の顎を優しく持ち上げた。
突然のことに思考が固まる。