第14章 メイ探偵とゴースト
「……単純なようで奥深い。ますます興味がわいてきたよ」
そう呟くと、Nは思い悩むように膝の上で指を組み、伏し目がちになる。
「でも、ボクは、ヒトの心を持たないのにコイができるのだろうか」
「それは違うよ、N。アデクさんに言われたでしょ」
アデクさんの名前を出すと、Nは一瞬動揺を見せた。
「人だから悩むんだって。だから今もこうして真剣に考えてる」
Nはゆっくりと顔を上げる。
「そうだ、そうだった……そう言ってくれたのに、ボクとしたことが……!」
Nの顔に笑顔が戻り、ホッと息をつく。前にNをたくさん笑わせるってトウヤくんと話した。これで1回。あと99回は笑わせたい。
「あれ?たしかあの場にナナはいなかったはず。なぜ知っている?」
ギクリと肩を揺らす。そういえば、あの時はシルバーくんと隠れながらNの様子を探ってたんだった。
「あー、えっと、あとで聞いたの!アデクさんに!」
咄嗟の言い訳。だけどNは気にも留めず、すぐに「そうか」と納得した。
「ヒトだから悩む……なら、ナナもイロイロ悩んでるのかい?」
今日のNは質問が多い。それはきっと、あらゆることに興味と探究心があるからだろう。パシオでたくさんの人と関わるようになって、彼の脳内のヒト図鑑に次々と情報をインプットしているのかもしれない。
「もちろん、毎日いろんなことを悩んでるよ」
「やっぱり、ナナは悩みがいっぱいだ」
「ふふっ、どういう意味?」
今度は私が思わず笑う。