第14章 メイ探偵とゴースト
その後、メンバー全員に説得された私は、読書する学生を装い、図書館でひとり検証を行った。
恐怖に襲われ、冷や汗を垂らしながら過ごすこと30分。
しかし怪現象は一向に起きず、決死の思いも虚しく、ただ時間だけが過ぎていった。
検証を終え、再度オカ研の部室に集まる。
「おかしいな。はじめに気配を感じた気がしたのにすぐに消えてしまった」
顎に手を添えて悩むマツバさんの横では、グラジオくんが腕組みをしている。
「全員で隠れていたのがバレて警戒されたのかもしれないな」
「やはり、彼女をひとり残してぼくら全員部室に待機が確実か…」
なにやらマツバさんが不穏な発言をしている背後で、メイちゃんは先ほどのホワイトボードと睨めっこを始めた。「グリーンさん(乱入)」に下線を引いたのはなにか意味があるのだろうか。
「ううーーん……被害のあった図書館と噴水の共通点ってありますかね?」
「そうだなぁ、どちらも複数でいる時に発生してるぐらいしかボクは思いつかないけど」
ハルトくんがそう言った瞬間、突然メイちゃんが顔をぱっと明るくした。
「きてます、きてます……ひらめきましたぁ!!」
メイちゃんは両手を大きく振り上げ、スカートをふわりとさせながら勢いよく振り返った。立て続けの検証でぐったりしている私とは対照的に、全身で喜びを表現して元気いっぱいだ。
「すごいねメイ、なにを思いついたのかな?」
楽しげに微笑むNに、メイちゃんはうっすらと頬を染めて満面の笑みを向けた。
「えへへ、次の検証はNさんにも協力してもらいますからね」
「ということは、私はみんなと待機?」
「いえいえ、もちろんナナさんはNさんと一緒です」
「じゃあ、またそれぞれ違う教室で検証?」
メイちゃんは演技っぽく大袈裟に首を振ってから、瞳の輝きをより一層増して両手の指を顔の横で組んだ。
「ズバリ、“事件が起きた時と同じ状況で検証”です!」