第14章 メイ探偵とゴースト
「最近ね、あんまりシルバーくんと話せてないんだ」
「さっきもあいつ、すぐ帰ったしな」
「避けてるんだと思う、私を」
取り繕うように笑ってみせる。けれど、グラジオくんは真剣な表情を崩さない。
「表面だけに囚われるな。むしろ、上っ面だけで心がバラバラな方がむなしい」
グラジオくんの顔を見つめる。すると一瞬、穏やかな彼の表情に微かに翳りが見えた気がした。
「オマエたちはきっと、離れてるようでつながっている。オマエも本当はわかってるはずだ」
「前みたいに、仲良くしてくれるかな…」
「それはオレには答えられない。オマエ次第だ」
グラジオくんの言う通りだ。自分でこの気持ちに決着をつけるんだ。
「そうだね、うん、そうだ、これは私の問題…」
自分に言い聞かせるように何度も唱える。
「見つかるといいな……オマエたちだけの答えが」
私たちだけの答え。
そんなもの、あるかどうかもわからない。
見つけられずに終わるかもしれない。
でも、見つかるかな。
見つかるといいな。
曖昧で歪な、私たちだけの答えが。
「うん…」
唇を結んで頷くと、グラジオくんはそっと目を細めた。
「大丈夫だ。ほころびができたら何度でも直せばいい。そうやってきずなは強まるもんだろ?人も、ポケモンも」
そう言って、作業途中の針を置き、片手で顔を覆って笑ってみせる。不思議なポーズだけど、私を励ましてくれているのが伝わってなぜだかジーンとしてしまった。