第14章 メイ探偵とゴースト
シルバーくんを頭の中で思い浮かべてみる。想像の中ですら帰りたそうにする彼を引き留めて、思い出を一つひとつ振り返れば、胸の中にじんわりとあたたかい感情が満ちてゆく。
初めて会った日のこと、泣きじゃくる私に寄り添ってくれたこと、ロケット団相手に共闘したこと、想いをにじいろのはねに込めてくれたこと。
思い返せば言い争いはしょっちゅうだ。皮肉や悪態も幾度となく浴びてきた。近づけば背を向け、「ひとりでいい」と言って去ろうとする。でも、その不器用な仮面の内側が誰よりも優しいことを、私は知っている。
私は、そんな彼の力になりたい。振り向かない背中を追いかけて、ただそばにいたい。
そう、一緒にいたいんだ。
だから、私は——
「……シルバーくんを、失うのが怖い」
「フッ、正直なヤツだ」
「呆れないの?」
「綺麗事並べるよりずっとマシだ」
シルバーくんは、グリーンと私の関係をわかってる。だから最近私を避けているんだろう。
私とシルバーくんは、近くなりすぎてしまったのかもしれない。
ならば、友達ではなく“知り合い”でいるのが、お互いのためなのだろうか。