第14章 メイ探偵とゴースト
グリーンが去った後、メイちゃんたちと図書館で合流することになり、私とグラジオくんは図書館でそのまま待つことになった。
あんな痴態を見られ、これからどんな顔してみんなと接すれば良いのやら。気まずさと後ろめたさで、深いため息がこぼれ落ちる。
椅子に座り顔を突っ伏していると、グラジオくんが声をかけてきた。
「おい、ナナ」
呼ばれて顔を上げれば、険しい表情で腕を掴んできた。怒るのも当然だ。検証中の護衛役を引き受けてくれたのに、目の前であんなはしたない行為を見せられたんだから。
「ごめんね、不快な思いをさせて」
「なにを言っている?」
「怒ってるんじゃないの?」
「いや」と否定しながら、私の服の袖をそっと撫ぜた。
「ここ、ほつれてる。さっきやられたんだろう」
「ほんとだ、これお気に入りだったのになぁ」
グリーンに怒っていたけど、よくよく考えると本の奇襲から私を庇ってくれたんだった。もし私ひとりだったらこんなもんじゃ済まなかっただろう。そう思考を変換すれば、グリーンへの苛立ちがちょっぴり収まる。
もうこの服ともお別れかぁと、胸中で別れを惜しんでいると、
「直してやる」
と言って、グラジオくんが隣に座った。
「いいよいいよ、元々傷んでたし」
「なに、すぐ終わるさ。オマエは座って休んでな」
グラジオくんは普段から持ち歩いているのか、ポケットから裁縫セットを取り出すと、私の服の色に合わせた糸を選び、慣れた手つきで針に通した。