第14章 メイ探偵とゴースト
「やれ!シルヴァディ!」
悲鳴を聞きつけたグラジオくんが、シルヴァディを連れて駆けつけてくれた。シルヴァディは私たちの前に立ち、襲いくる本を次々と鋭い爪で薙ぎ払う。破れたページはただの紙切れとなり、はらりと落ちた本はそのまま動かなくなった。
最後の一冊が床に落ち、図書館が静まり返る。
「怪我はないか?」
グラジオくんの声で我に返り、慌てて腕の中から離れる。グリーンは、乱雑に落ちた本が動くかどうか見定めてから、グラジオくんに視線を移した。
「ああ、助かったぜ」
「遅くなってすまなかったな」
「ううん、ありがとう!」
騒動が収まってから、図書館の天井隅に潜んでいたモニターロトムが、ふわりふわりとこちらへ近づいてきた。モニターには、興奮冷めやらぬといった様子で拳を握りしめ、身を乗り出したメイちゃんが画面いっぱいに映り混んでいる。
「ナナさん!バッチリいい絵が——じゃなくて、心霊現象撮れましたよ!」
マツバさんの声も続く。
「検証おつかれさま。しっかりぼくらも確認できたよ!」
「はは…まさか本当に証言通り本に襲われるとは…」
恐怖よりも驚きが勝っていまだに現実が信じられない。力なくへらりと笑って壁にもたれかかり、息をつく。そしてその後、さらに受け入れ難い現実と向き合うこととなる。