第14章 メイ探偵とゴースト
「本当に依頼なのか?誰かと待ち合わせじゃなく?」
「ほんとだよ。オカ研にも協力してもらってるし」
「なんか隠してるだろ?」
「なにも隠してないってば!なんでそんなに疑うの?」
必死に説明する私を半信半疑な目つきで睨んでくる。至近距離のにらめっこは続く。
「怖がりなお前がそんな依頼引き受けるわけない」
そりゃあごもっともだけど、
「私だって怖いけど、じゃんけんに負けたんだから仕方ないでしょ!」
「でも、祭りの一件があるからな。嘘かどうか確かめる必要があるな」
ニヤリと意地悪く微笑むグリーン。これはなにか企んでいる時の顔だ。モニターで映像と音声はみんなに筒抜け状態。暴走する前に止めないといけない。
「ほんとに依頼なんだってば!」
「じゃあなんでひとりなんだよ?」
「ひとりでおとりになる作戦だから」
「オレとの約束より依頼が大事なわけ?」
「なに急にめんどくさい人になってるの?」
「そういう意味じゃねえよ!」
グリーンは顔を赤くしながら、目つきをさらに険しくする。
「言ったよな?危険だからひとりになるなって」
不機嫌そうな顔が近づいてきて、耳をくすぐるように囁く。声が鼓膜にまとわりついて脚の力が抜けてしまいそうだ。
動揺を隠せず眉をひそめる私を、グリーンは満足げに見つめる。
「ひとり…じゃない…入口で見張りを…」
「誰もいなかったぜ?」
「それは」と言いかけた瞬間、指先で顎をクイと上げられ、心臓が飛び跳ねた。