第14章 メイ探偵とゴースト
仮にこれが心霊検証でもなんでもなく、お互い学生で、たまたま放課後に図書館でふたりきりになったのだとしたら、なんてステキなシーンだろう。運命を信じてしまうシチュエーションだ。
「……グリーン?」
「よう、こんなとこでなにしてんだ?」
ポケットに手を入れながら、グリーンが近寄ってくる。
窓の向こう、マジックアワーの幻想的な空をバックに図書館でふたりきり。ホッとするのと同時に、思いがけない演出にドキドキしてきた。
「今ね、クラベル校長の依頼を受けて、図書館で調査中なの」
「ふーん?」
グリーンがここにいる理由を聞き返そうとしたけれど、「アカデミー生の実技試験のために特訓している」と言っていたのを思い出して質問を変える。
「グリーンは特訓終わったの?今、図書館は調査で早めに閉館してもらってるから本は借りられないよ」
「ここには忘れもんを取りに来たんだ……あったあった」
グリーンはデスクの端っこに置き去りになっていたポリゴンフォンを見つけると、ポケットにしまいこちらへ向き直る。
「で、調査は順調か?」
「うーん、今はまだなんとも……実は今、心霊検証中なんだ」
「心霊検証?なんだそりゃ」
「図書館におばけやゴーストポケモンが出るって噂があって、本当かどうか調べることになったの」
すると、私の言葉を聞いたグリーンの目つきが鋭くなる。
「怪しいな」
「なにが?」
じりじりと距離を詰めてくる。そしてそのまま壁に追い詰められ、壁ドンで行く手を阻まれてしまった。