第14章 メイ探偵とゴースト
窓から差し込む光は、沈みかけた夕日の赤みを帯びている。図書館の棚の列には影が伸び、夕闇の静寂が広がっていた。
「む、むむむ無理だよひとりなんてぇぇええ!」
人気のない図書館に怯え切った声が響いた。悲痛な叫びを聞きつけて、ロトムが入り込んだモニターが浮遊しながら近づいてくる。
「だいじょーぶですよ!メイっぱいエール送りますから!」
モニター越しにメイちゃんが明るい声で励ましてくる。
「ならメイちゃんが代わって!私がエール送るから!」
「いえいえ!推理といったらこのメイ探偵にお任せください!あたしはマツバさんと分析班に徹します!」
「現場の方がいろいろわかると思うけどな!?」
「がんばってくださいっ!」
メイちゃんは会話をサムズアップとウインクで無理やり終了させ、モニターのスピーカーをオフにした。
というわけで、メイ探偵のメイ案という名目で、被害があった現場で心霊検証をする羽目になった。図書館は私、教室にはNが配置され、マツバさん、メイちゃんがオカ研の部室からモニターを介して私たちを見ている。
図書委員にはクラベル校長の許可を得た上で、あらかじめ検証のことを伝え、図書館を定時より早めに閉館してもらっている。つまり、いろんな人が協力してくれているので身勝手に逃げ出すことはできない。
「うう…じゃんけんでこんな大役決めちゃだめだって…」
「安心しろ。オマエはオレが守る」
ナイトのような頼もしい台詞が、扉の向こうから聞こえてきた。