第14章 メイ探偵とゴースト
「こんなところで女の子となにしてるの?」
「なんだっていいだろ」
「実は妹がいたとか?」
「お前、少しはものを考えてから発言したらどうだ?」
「違うんだ?」
「うるさいな」
「気になる」
「ほっとけよ」
いつものように、他者を寄せ付けないようなキツい目つきでギロリと睨んでくる。でも、あのシルバーくんが屋上の端っこで幼稚園児とふたりなんて、気にするなという方が無理な話だ。
問いただそうと口を開きかけた刹那、女の子がきゃぴっとした声を上げた。
「ねーおにーちゃん!もういっかいホウオウ呼んで!」
女の子が空に向かい指をさす。指の先には、夕陽を反射した翼が虹色に輝いていた。
「ダメだ。今日はこれでおわりだ」
シルバーくんがそう言うと、ホウオウはぐるりと旋回してからひと鳴きして自らボールへと戻った。ホウオウなりに女の子へさよならの挨拶をしたのかもしれない。
「ケチ!おにーちゃんのケチ!」
「なんとでも言え。ダメなもんはダメだ」
「ケチケチ!いじわる!」
「ケチでけっこう。もうママのところに帰りな」
女の子はその後すぐに、姉と名乗る学生に引き取られて行った。どうやらお姉ちゃんと一緒に学校見学に来ていたらしく、はぐれて泣いていたところを、シルバーくんが見つけてあやしていたらしい。