第14章 メイ探偵とゴースト
「ここが教務課の受付で、各階ごとに学年ごとの教室が並んでて、あっちが体育館とグラウンドです」
メイちゃんにアテンドされながら校内を見て回る。案内上手でわかりやすいと本人に伝えると、嬉しそうにはにかんだ。
「えへへ、実は以前パシオの観光大使も務めたので、こういうのはなれっこなんです」
「なのでおまかせください!」と付け加えて、人差し指をピッと立ててポーズを取っている。その後ろでは、Nが校舎を見上げて興奮した様子で両手を広げている。
「スバラシイ…!すごい設備だ!こんな広いところにたくさんの学生が集まってるなんて!向こうにはなにがあるんだろう!」
いつにも増してNが早口だ。
「図書館です——って、Nさーん待ってくださーい!」
子供のようにはしゃぐNをメイちゃんが追う。
ちょうど休み時間なので、廊下には生徒たちの姿が見える。人の合間を縫ってNは軽やかに進んでいく。
「N、楽しそう。もしかしたら気に入って本入学しちゃうかも」
「オマエのツレ、そんなに学校が珍しいのか?」
先を行くふたりの背中を眺めながらグラジオくんが聞いてきた。
「うん。子供の頃、ほとんど部屋から出してもらえなかったみたいで、学校だけじゃなく、全てが新鮮で楽しいんだと思う」
「……そうか。みんないろいろな事情があるんだな」
そう呟くと、グラジオくんは右手で片目を隠すポーズを取った。悩ましい思いを表現するポーズなのだろうか。
「せっかくだからナナも楽しむといい。気になる場所はあるか?」
「うーん、学食のメニュー見たいし、部活動も見学したいし、あとはグラジオくんお気に入りの場所を教えてほしいな」
「わかった、順に連れてってやる」
「やった!」
「まずはあいつらに追いつこうか」
グラジオくんとおしゃべりしながら、生徒で賑わう廊下を進んだ。