第14章 メイ探偵とゴースト
私の提案に、クラベル校長は口元に微笑みをたたえた。
「そうでしたか。それでしたら調査ついでにぜひ体験入学もしていってください」
「ありがとうございます!ナナも参加しよう!一緒に!」
Nがはしゃいでいる。ので、二つ返事で頷いた。もう覚悟は決めた。
「ではさっそくアカデミーを見学してもらいましょうか。ちょうど案内を頼んだ方も来ましたね」
クラベル校長が目配せした先から人影がふたつ近づいてくる。
「ナナさん、Nさーーん!お待ちしてました!」
ぶんぶん手を振る元気な女の子と、金髪色白なクールそうな男の子。どちらもパシオアカデミーの白い制服を自己流で着こなしていて、とてもよく似合っている。
「校内はこのふたりに案内してもらいます。メイさんとグラジオさんです」
クラベル校長の話によると、このふたりは調査の手伝いを有志で申し出てくれたらしい。ふたりとも大会でよく見かけるすごうでトレーナーだ。学校案内も兼ねて手伝ってくれるということなのでとてもとても心強い。
メイちゃんとはよくトレーナーズサロンで会っているけど、グラジオくんとこうして話すのは初めてだ。
挨拶の後、グラジオくんが歩み寄ってきた。
「ナナ…といったか?」
「うん、今日はよろしくね」
「妹のリーリエが世話になってると聞いた。今日オレはオマエらの用心棒になる。安心して調査にあたってくれ」
「ありがとう、ものすごく頼もしいです」
グラジオくんとリーリエちゃん、兄妹揃ってきれいな顔立ちをしている。色白で、品があって、話し方も落ち着いていて。きっと育ちがいいんだろうなぁ、なんて勝手に想像する。
「メイ、学校の中を案内してほしい!」
待ちきれないのか、Nがなんだかソワソワしている。
「はい!行きましょう!」
「ではみなさん、よろしくお願いしますね」
クラベル校長に見送られながら、私たちはアカデミーのエントランスに足を運んだ。