第14章 メイ探偵とゴースト
クラベル校長は神妙な面持ちになる。
「ええ、背後から肩を叩かれるなんていうのは序の口で、噴水に突き落とされたり、図書室の本や体育館のボールが浮いて襲ってきたりと、下手したら怪我や事故にもなりかねない事態でして」
「へ、へぇ…それは、危険ですね…」
「特に、夕方から夜にかけて頻出しましてね。みな怖がって、放課後はほとんど校内に生徒が寄りつかなくなってしまいました。かといって、教師や生徒が見回っても隠れてしまい尻尾を掴めず困っています。トレーナーの仕業なのか、野生のポケモンが迷い込んでいるのか……わたしは、イタズラ好きなゴーストポケモンのしわざだと踏んでいるのですが…」
そこまで説明すると、クラベル校長は心底困ったといった様子でかぶりを振った。
聞くと、肝心のそのゴーストポケモンの姿を誰も見たことがないらしい。特定できないから具体的な対策もできなくて困っているという。
イヤな予感がする。聞いているだけで冷や汗が止まらない。
「…ありがとうございます、状況はわかりました」
不安に押しつぶされそうな私に気づいたのか、クラベル校長は申し訳なさそうに眉をひそめた。
「すみません、怖がらせてしまいましたかね?ヒナギク博士はポケモンとバディストーンの研究をされているということで、原因を突き止めてもらうだけでなく、パシオにおけるポケモンの生態調査としても調べていただければと思い相談したら、あなたたちを紹介してくださったんです」
私も調査と聞いていた。けれどゴーストポケモンというだけで、ハードルがぐんと上がってしまうのはなぜだろう。