第14章 メイ探偵とゴースト
昼下がりのとある日。
「ようこそ、パシオアカデミーへ」
物腰やわらかなメガネの男性が、丁寧な挨拶で私とNを出迎える。
「校長のクラベルともうします。あなたたちがヒナギク博士が紹介してくれたナナさん、Nさんですね?」
「はい!よろしくお願いします」
Nとふたりでぺこりと頭を下げる。
今日はヒナギク博士の依頼で、最近島内に開校したパシオアカデミーに訪れている。
校長のクラベルさんは、パシオだけでなくパルデア地方のアカデミーでも校長を勤めているらしく、ここパシオにも、教育の場を設けようという話になり、ライヤーさんのバックアップのもとパシオアカデミーを創立したそうだ。言うなれば教職のスペシャリストである。
「それで、博士からは校内に突然現れるポケモンの調査と聞いてますが」
クラベル校長は穏やかな表情を崩さぬまま、手でメガネをクイっと上げた。
「ええ、実はゴーストポケモンのしわざだと推察される現象が頻繁に起きていましてね」
「え」
「イタズラを繰り返して困っているんです」
ヒナギク博士、ゴーストポケモンとは聞いていません。
怖いのは苦手なので本音は断りたいものの、せっかくの依頼なのでもう少し話を聞いてみることにした。
「…これまでどんな被害があったんですか?」