第13章 帽子のトレーナー
場所は変わり、セントラルシティ北部の草原。
息をつく暇もないほどスピード感溢れる試合展開、ぶつかり合う衝撃が大地を揺らし、それにより巻き起こる風塵が視界を覆う。レッドもライヤーさんも、緊迫した一瞬一瞬に全力を注ぎ攻撃をぶつけ合った。
勝敗はレッドの勝ちではあったけれど、単純な勝ち負けで言い表すのは口惜しいほど、白熱した戦いだった。
「…今回も同じ結果になってしまったか…」
静かに呟くライヤーさんの横で、ライヤーさんのバディであるフーパはしょんぼりと項垂れている。
ライヤーさんとフーパのコンビネーションは圧巻だった。レッドの猛攻に屈せず最後まで応戦し、途中レッドが押される場面もあった。その戦いぶりを見れば、自国で無敗という実績も納得だ。
フーパが俯いたままふわふわと私に近づいてきた。
「フーパちゃん、ナイスファイトだったよ」
そう言うと、慰めて欲しそうに頭を寄せてくる。
撫でて欲しいのかと思い、頭に触れようとそっと手を伸ばしたら、瞬時にフーパの姿が消え、眼前に大量のゴースが湧いて出た。
「ぎゃぁぁああッ!?」
反射的に後退ると、レッドの肩にぶつかってしまった。レッドは怯える私を落ち着かせるようにそのまま肩を抱く。
「フーパめ!またイタズラしおって!」
フーパはケラケラと楽しげに空中でぐるりと一回転してみせた。