第12章 ※熱帯夜
「そっか、その人の性格だけじゃなく人生が表れるんだ…」
「つまり、お前がオレに勝てないのは、何もかもこのグリーン様が人生の先輩だからだな」
「いい話だと思ったのに締めが最悪」
離れようとすると背中を捕まえられる。
「冗談を真に受けんなって。ナナはちゃんと強くなってるよ」
「……ほんと?」
「ああ」
優しい声に胸がじんわりとあたたまる。全てを包み込まれているみたいで、ふわふわと心が浮き立つ。
「さっき同棲の話してたけど、私ね、夢ができたの」
「カントーのチャンピオンじゃねーの?」
「うーん、それは夢というより目標かな」
「じゃあなんだよ?」
それは本当に単純で、ただずっとグリーンと一緒にいたいってだけ。
旅を終えたらマサラタウンに戻って、グリーンと暮らして、そしていつか——。
ダメだ、考えたらとてつもなく照れてきた。