第12章 ※熱帯夜
行為の後、ぬるくなった浴槽にふたりで浸かると、溜まった疲労が癒えていく。
「きもちいー…」
ため息混じりに言葉を吐いた。
「落ち着くな…」
汗を流し、髪も洗って、すっかりリラックスタイムだ。
ホテルのサービスで備え付けられていたバスソルトで、浴室はハーブの香りに包まれている。お湯を手で掬うだけで香りが広がり心が安らいだ。
「もうさ、パシオにいる間はここに泊まれよ?フロントに言っておくから」
「いいよ、私はトレーナー用の宿舎で」
「なんでだよ?」
「だってなんか同棲みたい」
「いいだろ同棲すれば」
「同棲するなら、私の全ての旅が終わってからがいいな」
甘い雰囲気から真面目な話になると、グリーンは何も言わずに耳を傾ける。
「まだポケモンリーグに挑めてないから。私はやっぱり、カントーの四天王に挑戦したい」
「それはつまり、オレを倒してから同棲ってことかよ」
「そう…なりますね。正確にはポケモンリーグ挑戦後だけど。だからお手柔らかに…」
「何年先の話になるやら」
わざとらしくやれやれと鼻で息をつき、「でも」と続ける。
「お前のそういう真面目でブレないとこ、好きなんだよな」
背中から抱きしめられ水面が揺れた。