第12章 ※熱帯夜
「ぜんぜんわかってないっ」
「そんなこと言いながら、お前さ——」
指で溝を弄って耳元で笑う。
「なんで濡れてるんだよ?」
意地悪な囁き。
「嫌じゃなかったのか?」
「……っ、濡れてるのは、さっきしたばっかだから」
「ならしっかり洗わないとな」
そう言って、悪戯っぽく微笑むと、ボディーソープを手のひらで泡立てた。
「泡が中に入ったら痛いからじっとしてろよ」
泡で包み込むように優しく撫でてくる。ふわふわな泡がなんだかくすぐったい。溝に沿って手のひらが上下し、じんわりと広がる刺激に息を漏らす。
声を我慢していると、指が触られたことのない部分を撫でてきて腰が跳ねた。
「——いっ!?」
「おい、動くなって」
鏡の私は、グリーンの腕に拘束されている。なすがまま恥ずかしい箇所に触れられ、顔を赤らめて眉根を寄せている。
グリーンは片手で、後ろの皺を伸ばすように指で丹念に洗う。
「ね…だめ、そっち…きたないっ」
「大丈夫だって」
と言いながら、シャワーを手に取って泡を流し始める。ようやく解放されると思って内心ホッとしたのも束の間、泡を流し落としてもシャワーを当てられ続ける。
微弱な電流が流されるような快感がじわじわと襲う。シャワーが下から当てられる位置に移動すると、思わず声が漏れてしまった。
「泡が残ってるかもしれないからもう少し我慢な?」
試すような口ぶりで私を弄ぶ。
前をシャワー、後ろを指でふにふにと刺激を与えてくる。指の刺激は気持ちよさよりも違和感の方が強くて、その違和感を無くすためなのか、後ろへの愛撫はじわじわと侵食していくかのように優しい。
初めて触れられ、堪えきれないほど恥ずかしいはずなのに、指で押されればひくんと勝手に反応してしまう。