第12章 ※熱帯夜
パシオ随一の高級ホテルなだけあって、浴室も大理石造りですごく豪華だ。バスタブはふたり並んで脚を伸ばせそうなほど広々としている。
バスタブにはすでにお湯が張られていた。どうやら、私が眠っている間にグリーンが用意してくれたらしい。
そんな気遣いが嬉しい反面、普段暗い部屋でしか裸を見せていない私にとって、間接照明とはいえ明かりのついた浴室に一緒に入るのはハードルが高く、気持ちが落ち着かない。
見られるのはもちろん、グリーンを見ることすら恥ずかしくて顔を背けていると、私を見て呆れたように笑っている。
シャワーの水流が弾く音、ボディーソープの香り、なんだか全てが卑猥なものに感じてきた。
「ほら、洗ってやるよ」
「いやだ。自分で…って、ねぇ!」
私が拒むのをわかりきったように、同意を待たずに肌に触れてくる。鏡に映った私は、後ろからグリーンに抱きしめられている。
鏡越しに目が合うと、グリーンは手をするりと私の腕に滑らせた。自身の身体を洗いながら、私の身体にも触れてくる。
ボディソープが肌に伸ばされていき、腕の裏側を洗われる。手はそのまま脇の下へ。
「……っ」
「ここ、汗かいただろ?」
くすぐったさと気持ち良さが入り混じった感覚に身をよじる。
「ここも」
胸を撫で回され、声が漏れないよう口を結ぶ。バランスを崩して身体を寄せると、固いのが下でぶつかった。
回復早すぎないかな?さっきあんなにしたのに。
優しい手つきでふわふわとふたつの膨らみを撫でてくる。指先でくるくると円を描き、肌を執拗に往復する。
「ねえ、もういい…」
「まだ全部洗ってないけど?」
「…んッ」
先をきゅっと摘まれて、声が出てしまった。
「やだ、もうやだぁ…っ」
ドキドキが1日の許容量を超えている。もうキャパオーバーだ。
「わかったわかった」
離れかけた身体を引き戻されると、手がおへそを通過して下に伸び、脚の間にするりと指が入り込んだ。