第12章 ※熱帯夜
意識が戻り目を開けると、頬杖をついて横になっているグリーンと視線がぶつかった。
「……あれ…朝?」
「まだ夜だよ。30分ぐらい寝てたんじゃねーか?」
30分?それまでなにしてたっけ?と思い視線を落とせば、無惨に着崩れた浴衣と肌のあちこちにつけられた跡を見て全てを思い出す。
寝てる間にキスマークが増えている気がする。夏でも長袖?と軽く絶望していると、グリーンが身体を起こし、私の手を掴んできた。
「汗かいたからシャワー浴びようぜ」
「…先行ってきて。あとで入る」
そう言うと、グリーンはあからさまに不機嫌になる。
「一緒に来いよ」
「なんで?」
「なんでって…それ聞くか?」
無理やり手を引かれベッドから起き上がると膝が揺れた。酷使した身体が重だるい。蓄積した疲労はグリーンにたくさん求められた証でもあり、身体に刻まれた記憶がだんだんと鮮明になり顔が熱くなった。
「脱ぐの手伝ってやるよ」
グリーンが浴衣の帯に手をかける。
「自分で脱ぐからいいです」
「いや、オレにやらせろ」
「いいってば」
「強情だな」
「そっちこそなんでそんな必死?」
グリーンは帯を掴んでニヤリとした。イタズラを仕掛ける少年みたいな顔つきだ。
「一度やってみたかったんだよ」
そう言って、勢いよく帯を引っ張った。
「うわぁぁ!」
コマのように回され、色気なんて0な悲鳴をあげる。
「ハッハッハ!!」
悪魔の笑い声が響く中、くるくると視界が回転する。目が回ってふらつき壁に激突しかけたところを、間一髪グリーンに支えられる。
「なかなか楽しいな、これ」
「どこが…」
怒る元気すらもうない。力なく身体を預けると、そのままお姫様抱っこされる。今夜はずっとグリーンのなすがままだ。