第12章 ※熱帯夜
惜しいところまで言えたのに、その先は口を閉ざしてしまう。
「もっと?」
パチンとホックをはずせば、自称1カップ育ったという胸が弾んだ。キツく締められた帯の上に乗っかった、ハリのある胸をそっと揉む。
「…もっと、いつもの…」
ほんの少し、手のひらで敏感な先に触れてやる。それだけで焦らし続けたナナの身体はわずかに震えた。
「いつものって?」
乳首に触れないように、指先で周りをなぞる。
素直になりきれないナナは、ついに涙目になった。
「おねがい…もっと、して…いつもの…」
力なくオレに身体を寄せ、消え入りそうな声で、
「ほしい、ぐりーん…ほしいの…」
オレだってお前がほしい。
オレのことだけ見ててほしいし、ずっと求めてほしい。
そんな本音は胸の中に押し留め、先端に吸い付いた。
「……んっ」
「これか?ほしかったやつ」
羞恥に涙を浮かべながら、こくりと頷くナナ。
唇でそっと挟みながら、唾液でたっぷりしめらせてから舌先でつつく。
舌で丹念に可愛がってから甘噛みすると、ナナは顎先を天井に向けて切なげに鳴いている。
愛撫をしばらく続けていると、ナナが全身を強張らせた。
「胸でイキそうなのか?」
「わか…ん、ない…でもっ」
焦らした分、反動で快感の波が強いのかもしれない。
逃げないように腰を押さえつけ、甘噛みしながら舌で弾き、もう片方は指先で擦り上げると、ナナは背中を仰け反らせた。汗が紅潮した肌に滴り落ちる。
固く縮んだ先を吸い込む。するとナナは、眉をきゅっと寄せながら、押し殺すように控えめに鳴いてビクビクと身体を震わせた。濡れた頬にキスをして、そのままベッドに押し倒す。