第11章 お祭り騒動
「あっ、いたいた!こっち!」
花火の音が響き渡る中、リーフちゃんが私たちを呼ぶ声がする。
おんぶされた私を見て、リーフちゃんは一瞬驚いた顔を見せた。その後すぐ私の足を見て、状況を理解したようだった。
「ナナちゃん、足大丈夫!?」
「うん、下駄が履き慣れなくて」
「グリーンもおんぶ疲れたでしょ。花火始まるって聞いたから、公園のベンチ確保しておいたの。戻ってみんなで見よ!」
公園に戻ると、レッドが花火を見ながら、ポケモンたちに囲まれてたこ焼きを頬張っていた。頬が膨らんでホシガリスみたいでかわいい。
私の姿を見つけてサンダースが駆けてくる。
「待たせてごめんね」
「キュウ」
鼻緒擦れした患部をクンクン嗅いで心配そうにしている。触れるたびに静電気が発生するので「大丈夫」と言ってやんわりと距離を置いた。
レッドからたこ焼きを受け取り、みんなでベンチに並ぶ。花火は海から打ち上げられていて、私たちがいる公園はちょうど正面から花火が見える場所にあった。さっきまであんなに空いていたのに、今ではたくさんの人がベンチや芝生に座り、ポケモンと共に花火を楽しんでいる。
Nたちも公園で花火を見ていて、私の姿に気がつくと小さく手を振り返してくれた。
シルバーくんが気になって、なんとなく人混みを探すけれど姿は見えない。もしかしたら、あの場所にそのままニューラと残って、静かに花火を楽しんでいるのかもしれない。
「よそ見すんな」
グリーンが私の肩を抱き寄せる。