第11章 お祭り騒動
いつもみたいに余裕たっぷり返されると思いきや、今日はなんだか機嫌が悪い。
「なんだよ。オレがいない間に勝手にシルバーとふたりでいたくせに」
思わず、「ゔ」と喉の奥で声にならない声を出した。
肩越しにグリーンがイライラしているのが伝わってくる。けれど私だって不安だったんだから言わせてもらう。
「グリーンだって、きれいなおねえさんたちに声かけられてデレデレダラダラしてたでしょ」
グリーンの肩がほんの少し揺れたのを私は見逃さない。
「あー図星だ、やっぱりうれしかったんだ」
横目でジロリと睨んでくる。
「ただのファンサービスだろ!お前こそあいつとコソコソなにしてたんだよ!」
「だから、私はニューラを追いかけてあそこで捕まえたのっ」
グリーンは、皮肉たっぷりに深々と嘆息する。
「ったく、誰にでも尻尾を振るから危なっかしいんだよな、お前って」
「だってシルバーくんはチームメイトだよ?」
「お前にその気がなくたってな、少しは夜に男とふたりになるのがどういう……あぁもういい、なんでもねぇよ!」
グリーンが吐き捨てるように言い放った瞬間、遠くの空からヒュウと笛の音のような音がした。
反射的に夜空を見上げる。
ひとつ、大きな赤い花火が打ち上がったかと思うと、その後すぐに夜空いっぱいに大輪の花が咲き乱れた。