• テキストサイズ

【ポケモン】パシオで恋して

第11章 お祭り騒動


「ボサっとしてるなよ」

片手で腰を抱き寄せ、人にぶつからないよう庇ってくれた。

「あ…りがとう」

顔が近くて緊張が走る。シルバーくんは私の足を見て、険しい顔つきを見せた。

「その足じゃ歩けないな」

「大丈夫……って言いたいけど、足手まといになっちゃうね」

右足の指の間は皮膚が剥がれ赤くなってしまっていた。

手伝いたいのにこれじゃあ自由に動き回れない。不安と無力感が心を蝕んでいく。

「…悪かった」 

「え?」

シルバーくんは私を抱き寄せたまま、消え入りそうな声で話す。

「お前の大事なものなんだろ。オレが必ずニューラから取り返——」

「シルバーくん!いた!あそこ!」

ニューラがこちらを一瞥し、暗がりへと歩いていくのが見えた。痛みも忘れ、慌ててニューラの姿を追う。

「おい、無理するなって!」

「平気!」

シルバーくんは舌打ちすると、私の腕を掴んだ。

「あっちだな?」

「うん!あの池のほとりにいる!」

「転んだら置いてくからな」

念を押すようにギロリと睨んでくる。

「気をつけます!」

そのまま腕を引かれながら歩いていくと、風情のある和風庭園に着いた。

ニューラは池のほとりにある竹製の縁台に腰掛け、素知らぬ顔で脚をぷらぷらしている。縁台は背もたれの部分にたくさんの風鈴が吊るされ、心地よい音を奏でながら私たちを出迎えてくれた。

「ニューラ、それを返せ」

シルバーくんが手を差し向ける。

「ニャンッ」

すると、ニューラは素直にかんざしを返した。

追いかけっこは呆気なく終了。

拍子抜けすると共に、私の口から安堵のため息がこぼれ落ちた。

「バカに素直だな。鬼ごっこしたかっただけか?」

ニューラはぷいとそっぽを向いた。

/ 452ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp