第11章 お祭り騒動
「え?ちょと!ニューラちゃん!?」
反射的に立ち上がり追いかけると、シルバーくんが私をすぐに追い抜いた。
「ニューラ!戻ってこい!」
公園の入り口で、ちょうどトイレから戻ったリーフちゃんに鉢合わせる。ニューラはリーフちゃんの横を通り過ぎて、祭りの人混みの中に消えてしまった。
「なに?一体なにごと!?」
「ごめんリーフちゃん!ポケモンたちをよろしく!」
「どこ行くの!?」
「ニューラちゃんが私のかんざし持って逃げちゃった!」
「ええっ!?」
リーフちゃんにあとで連絡すると告げて、ニューラを追いかけて盆踊り会場へ向かう。けれどすぐにニューラを見失ってしまった。
辺りを注意深く見回し、すれ違う人に訊きながらニューラの行方を追う。
流石に大勢の人が行き交う中で走るわけにはいかず、焦りを堪えながら歩いて探し回った。
「見つけたら返すから、お前は戻ってろ」
「でも、とっても大事なものなの。ニューラも心配だし、もう少し一緒に探してもいい?」
「好きにしろ」と吐き捨てて、シルバーくんは前を歩く。
シルバーくんの背中を追いかけながら、もしかしたら地面にかんざしが落ちているかもと思い、足元に視線を向けると、知らない人の肩にぶつかってしまった。
「っすみません」
よろけた拍子に、鼻緒が指の間に食い込んだ。
「いつっ」
バランスを崩した私の身体を、シルバーくんが支える。