第11章 お祭り騒動
「ニャア!」
「チッ……わかったよ。少しだけだからな」
シルバーくんの返事を聞いてから、ニューラは手を離して私の隣に座った。シルバーくんも渋々とその横に腰掛ける。
「そういえば、ヒビキくんたちは?」
「向こうで射的やってる。コトネがひとつも景品取れなくて火がついてた」
そう言ってフッと笑顔を見せる。なんだかんだ楽しんでいるみたいでよかった。
「リーフちゃんが大量に景品取ってたから、もしかしたらお店の人が難易度上げちゃったのかも」
「大量にって、まさかその袋全部か?」
「そう、私も驚いてる」
ベンチの背にかかっているパンパンなビニール袋を見て、シルバーくんが顔を引き攣らせる。その様子が可笑しくて肩を震わせて笑うと、かんざしが揺れた。
シルバーくんの視線がかんざしに移る。
「それ、マーシュの店のかんざしだな」
「うん、さっきグリーンと行ってきたんだ。シルバーくんもお店見た?」
「ああ」
「マーシュさんのアクセサリーおしゃれだよね!みんなもなにか買ってた?」
「さあな」
そこで会話が途切れる。
その後、いろんな話題を振ってみたけど、どれも続かない。
会話の引き出しが無くなりかけたところで、ニューラが私の顔をジロジロと見つめてきた。
「どしたのニューラちゃん?」
首を傾げたのに合わせてまたかんざしが揺れる。すると突然、ニューラが私のかんざしを髪から引き抜いて駆け出した。