第11章 お祭り騒動
レッドとグリーンが戻ってきたのかと思い、一瞬ドキリとしたけれど予想は外れた。
「よっ」
顔を上げれば、仏頂面な赤髪の男の子。
「シルバーくん…」
目が合うと、案の定逸らされた。
「ひとりでなにしてんだよ。グリーンに振られたのか?」
「休んでただけです」
その冗談は今はきついよと胸中で呟きつつ、幼馴染3人と夏祭りに来ていると説明した。
「シルバーくんもお祭り来てたんだね」
「ああ、ヒビキたちがしつこくて引っ張り回されてた。ニューラは暑さが苦手だから公園で休ませようと思ってな」
シルバーくんの足元のすぐ側では、ニューラがおいしいみずを飲みながら涼しい顔をしている。
ちょうどグリーンたちのポケモンもいるからみんなで遊ぶよう勧めたけど、ニューラは頑なにシルバーくんの隣から離れようとしない。
ニューラはシルバーくんが大好きみたい。
「かわいいね。シルバーくんと離れたくないんだね」
「どうだかな。こいつも群れるのよりオレといる方が楽なんじゃないか」
「似たもの同士なんだね」
「まぁ、ニューラといると互いに通じ合っていると感じる瞬間はある。こいつとは古い付き合いだしな」
ニューラを見るシルバーくんの顔つきはとても穏やかだ。その顔を見ているだけで、ふたりのきずなの強さが伝わってくる。