第11章 お祭り騒動
「…誰も悪くないのに、誰かが傷ついちゃう。でもしょうがないよね。だってふたりは両思いなんだから」
ふとレッドの台詞が脳裏に浮かんだ。
草原で話したあの日、レッドは私に“終わらせたくない”と言った。
レッドはなにを思ってああ言ったんだろう。
関係性の変化を望んでいなかったということだろうか。
「リーフちゃんは……旅立つ前の、あの頃の4人が好きだった?」
そう聞くと、驚いたように大きな瞳を見開く。
「わたしは昔も今もずっとみんなでいるのが好きだよ!」
リーフちゃんは躊躇いがちに視線を落としてからその先を話す。
「…ふたりを責めてるわけじゃないの。むしろおめでとうって思ってる。だって仕方ないよ。みんな昔のまんまいられるなんてできっこない。好きって気持ちに嘘はつけないよ」
ふぅとため息をつき、リーフちゃんは視線を遠くへ移した。
私も遠くの祭りの賑わいをぼんやりと眺める。はしゃぐ子供たちを見ていると、言いようのない懐かしさと、どうしようもない切なさが胸に広がっていった。