第11章 お祭り騒動
「次はあっち見てみない?」
リーフちゃんがミニゲームの屋台が集まる方を指差した。射的や輪投げの屋台に親子連れやカップルが並んでいる。
「あー…ちょっと気になる店があったから、こいつと見てきていいか?」
と言いながら、グリーンが私の腕を掴んだ。
「それならみんなで行こうよ」
せっかく4人で出かけているし、なるべくみんなと一緒にいたい。と思ったのに、リーフちゃんもグリーンに便乗する。
「そうね。レッドと遊んで待ってるから行ってきたら?」
「私も射的やりたい!」
口をとがらせ少しむくれてみせると、リーフちゃんがそっと耳打ちしてきた。
「ほんと、ヤキモチ焼きよねー」
「え?」
「いいから付き合ってあげて。戻ってきたら一緒に遊ぼ!」
リーフちゃんが私の肩を掴んでグリーンと向き合うようにくるりと回す。
「なに話してたんだよ」
「ひみつ!ほら、早く行った行った!」
トンと背中を押され、グリーンの肩に身を寄せる体勢になり、慌てて離れる。
振り向けば、リーフちゃんとレッドは既に射的に向かって離れたところを歩いていた。ふたりは一度だけ振り返ると、手を振りながら人混みの中に消えていった。
「腕と手、どっちがいい?」
当然のようにグリーンが聞いてくる。
「いいの?さっき、ファンのおねえさんたちがいたのに」
「ったく、なんでお前ってそうなんだろうな」
グリーンは大げさにため息をつく。
「そうなるってなんの話?」
「自分のことだけ考えて楽しめって言ってんだよ」
「じゅうぶん楽しいよ?私」
「あーわかったわかった。で?どっちがいいんだよ」
いつも何も聞かずに手を繋いでくるのに今日はどうしたんだろう。選択肢があると悩んでしまう。
手はよく繋ぐけど、腕は組んだことがない。
「じゃあ、こっち」
少し緊張しながらも、自分から腕を絡ませた。