第11章 お祭り騒動
「もう、無理しなきゃいいのに」
サンダースと目線を合わせるようにしゃがむ。
「怖がりなのに好奇心旺盛で、でもそこがかわいいんだよねッ」
キョトンとした顔でおすわりしているサンダースの頭を撫でると、
「そうなんだよな」
私の頭の上にポンと手が置かれた。
見上げれば、チャラそうなサングラス男と無口で真面目そうな男の人が目に映る。
「そこのカーノジョ!オレとデートしない?」
「なにそれ、恥ずかしくないの?」
「わかってないな、イイ男は恥じらわずに口説き落とすんだよ」
立ち上がっても見上げるほどある身長差が、この時ばかりはなんだか悔しい。
「随分楽しそうだったけど?」
「困りものだよな。モテすぎるってのも」
否定しないってことはやっぱり楽しかったんだ。
「夜にサングラスって、へんなの」
「お忍びなんだから仕方ないだろ」
「有名人気取っちゃって」
ジト目で睨みつけると、グリーンはサングラスを外しながら私をまじまじと見つめてきた。
「……浴衣、きれいだな」
「……」
グリーンの言葉のあと、レッドも口元に笑みを浮かべて頷く。
「ねえちゃんに礼を言わねーとな」
怒りたいのに、急に褒めないでよ。
顔が熱くなり俯く。
レッドもグリーンもずるい。
「ふたりとも遅い!」
腰に手を当ててリーフちゃんが近づいてきた。男の子との品評会は終わったようだ。
「リーフがいちばん遅いじゃねーか」
「わたしはふたりを待ってファンの子と話してただけだもん。来たなら呼んでよね」
詰め寄るリーフちゃんを前にしてもグリーンは余裕たっぷりだ。
「わかったわかった、待たせて悪かった。言い合ってたら時間もったいねーし、早速見て回ろうぜ」
「うん」
レッドの相槌を合図にみんなで歩き出す。
久々にみんなでおでかけだ。
わくわくしながら賑やかな屋台を眺めた。