第11章 お祭り騒動
大会は数日にわたって勝ち抜き形式で進み、私たちのチームは順調に勝利を重ねていった。
熱戦が続く中で迎えた、ある夏の夜——
「いたいた!ナナちゃーん!こっちこっち!」
「ごめんリーフちゃん!遅れた?」
「ううん、時間ぴったり!」
待ち合わせの夏祭り会場の入り口に着くと、笑顔のリーフちゃんとフシギバナが出迎えてくれた。
WPM開催に合わせて、ライヤーさんは出場者も観客も、すべてのトレーナーが楽しめるようなイベントを定期的に開いている。今日は、その中でも特に賑わう夏祭りの日だった。
会場では、ポケモンを連れた人々が思い思いにお祭りを楽しんでいる。
「わぁ…!ナナちゃんとってもカワイイ!」
「リーフちゃんもすごく似合ってる!」
せっかくの夏祭りなので、私とリーフちゃんは浴衣を着て行こうという話になった。
リーフちゃんは、水色の浴衣に撫子の花が咲いた、涼やかで可憐な浴衣を身にまとっていた。清楚な色合いがリーフちゃんの雰囲気にぴったりで、アップにまとめた長い髪も相まって、まわりの視線をひときわ集めている。
私の浴衣はというと、白地に水紋と水草、そして小さなトサキントが泳ぐように描かれている模様。グリーンの姉であるナナミおねえちゃんが送ってくれたお下がりの浴衣だ。
私は浴衣の裾を指先でそっと摘んで、なんだか落ち着かない気持ちを紛らわせるようにそっと息をついた。