第10章 親子のカタチ
シャワーの後に髪を乾かし、部屋着に着替えて電気を消す。
汗を流したおかげでシーツの冷たさが心地いい。
ベッドに横になりながら、寝る前にポリゴンフォンを見る。
通知をオフにしたから、もしかしたら何か大事な連絡が来ているかもしれないしな。
そう思ったけど、誰からもチャットは届いていなかった。
これでようやく邪魔されずに眠りにつける。
目を閉じれば、目まぐるしかった今日の記憶が断片的に浮かんでは消えていく。
Nとゲーチスの接触、ロケット団との戦い、レッドやヒビキとの修行……クソッ、オヤジに負けたことを思い出したらムカついてきた。
強くなりたい。
弱い自分が何よりも許せない。
ひとりで、誰にも頼らずに最強になる。
そう決意したはずなのに、最近のオレはどうかしてる。
うまく表せないが、あいつといると調子が狂う。
強さへの渇望をピンク色のモヤが包んでいくような奇妙な気持ちになる。
こんな感情オレには邪魔でしかない。そう思えば思うほど、脳裏にあいつの顔が焼きついて離れなくなる。
泣き顔も、笑った顔も、しかめっ面も、困った顔も、あいつの全部を思い出せば、満ち足りたような、満たされないような、相反する感情がオレの思考をかき乱す。
なんであの時触れてしまったんだろう。あいつはオレのものではないのに。
オレはその先を望んでいる?いや、そんなはずはない。
認めない。認めたくない。
オレには不必要な感情だから。