第10章 親子のカタチ
ポリゴンフォンを開きっぱなしにしながらウトウトしていると、不意に受信マークがついた。
眠気を打ち消すような胸の高鳴りが煩わしい。
緊張?一体オレは何を期待してる?
ひと呼吸置いてからチャット画面を開いた。
『私だから送らなくていいやって思ってるの わかってるからね!』
『ゆっくり休んでね。おやすみ』
立て続けに2通のチャット。既読無視ですっかりご立腹か?
「フフッ………って!?」
自分の反応が信じられず、誰もいないのにひとりで狼狽える。
メッセージ見て笑うとか、こんなのオレじゃない!
「クソッ、あいつ、この感じはどうせ返事ないと思ってるだろ!」
だったら敢えて返信してやる。あいつの予想通りになるのは癪だからな。
『何時だと思ってんだ。はやく寝ろ』
短く返してポリゴンフォンを閉じた。
今頃驚いているだろう。ざまぁみろ。
なんてことはないやり取りに不思議と心が静けさを取り戻し、そっと目を閉じた。
——おやすみ、シルバーくん。
あいつの声が聴こえた気がして一瞬目を開ける。
けど、そんなはずはなくてすぐに視界をまぶたの裏に戻した。
ああ、おやすみ。