第10章 親子のカタチ
修行を終えて部屋に戻り、着替えもせずベッドに横になった。
疲れが蓄積した身体は重く、ベッドの底に沈んで溶けてしまいそうだ。
深いため息と共に目をつぶる。
何も考えない空白の時間をしばし堪能していると、ポリゴンフォンが鳴った。
目を開くのも億劫で、音がした方へ腕を伸ばす。手にぶつかったポリゴンフォンを掴み、うっすら目を開ける。
『おつかれ!明日は本戦の開会式だね。式の10分前にアリーナ前集合でよろしく!』
無視。既読はつけてんだから分かるだろ。
しばらく横になってたら、また通知がきた。
目元を覆っていた腕を伸ばし、目を細めながらチャットを開く。
『明日は開会式だね。ヨロシク』
N?珍しいな。あいつからチャットが来るのは初めてかもしれない。
……仕方ないから「OK」のスタンプを返しておいた。
眠気が覚めてしまったついでに、歯を磨こうとノソリと起き上がる。
洗面台で歯磨きしていると、また通知。
今日はバカに連絡がくるな。設定で鳴らないようにするか。
右手に歯ブラシ、左手にポリゴンフォン。
『レッドさんもグリーンさんも強かったね!本戦ではやくシルバーと戦いたい!」
ヒビキか。こいつには「オレが倒すまで誰にもやられるなよ」とひと言だけ送り返した。
すぐ寝付けそうにもないし、面倒なシャワーも浴びておくか。