第10章 親子のカタチ
「修行したいって言ってるんだから大人しく送り出してやれよ」
グリーンの言葉は予想外だった。振り返り、片方だけ口角を吊り上げる。
「あんたは物分かりがいいな。ついでに、そいつがオレに付き纏わないよう、しっかり躾けておいてもらえると助かる」
皮肉たっぷりにそう告げると、ナナはあからさまにムッとした。
「躾って!言い方!」
不服そうなナナとは対照的に、グリーンは愉快そうにニヤリと笑う。
「わりぃわりぃ、躾がたりなかったみたいだな」
「ああ、飼い主なら責任持って飼い慣らしておけ。こっちも勝手に懐かれたら困るんだよ」
「ハハッ!違いねぇ!」
「違うでしょ!ふたりとも私の扱いひどくない?」
グリーンの余裕綽々な態度が気に食わない。せいぜいそうやって調子に乗ってろ。
いつか余裕ぶったその鼻をへし折ってやる。
「そういえば、ちょうどお前みたいに修行大好きで、すぐひとりでふらっといなくなるヤツがいたな」
こっちはもうウンザリしてるのに、またしつこく声をかけてくる。
いつまで会話を続ける気だよ。