第10章 親子のカタチ
その後、ロケット団やブレイク団の残党がいないか、みんなで洞窟を捜索したがもぬけの殻だった。
そもそも、洞窟の中はアジトとして使われている痕跡すら見つからず、どうやら、オレたちを誘い込むために一時的に利用していただけのようだ。
たしかに、この洞窟は複雑で迷いやすく、罠として利用するにはぴったりだ。
簡単な調査を終えて外へ出ると、Nとトウヤが待っていた。
Nはオレたちの姿を見て、ほっとしたように微笑む。だが、明るく振る舞ってはいるがその表情はどこか暗い。
無理もない。ゲーチスにあんな風に裏切られた直後だしな。
厄介な親を持つと、何かしらの足枷になるもんだ。
足枷を外すか、そのまま引きずって生きていくかは、環境とか、経験とか、いろんなもんに左右される。
きっかけをくれるヤツはいても、最後は自力でなんとかするしかない。
自分で乗り越えるしかないんだろうな。
Nも、オレも。