第10章 親子のカタチ
「幹部の勝敗は?」
「申し訳ありません。惨敗です…」
「ならば撤退して体制を立て直す。複数の伝説ポケモン保有者の確認もできたし、面白いものも見られた。これ以上ここにいる理由はない」
「はいっ!」
アポロがロケット団員たちをサカキの周りに集合させる。
「待ちなさい!」
「逃がさないんだから!」
クリスとコトネがスイクン、セレビィでサカキを追いかける。だが、サカキは勝ち誇った顔でこちらに向き直った。両手を広げ、哄笑を響かせる。
「さらばだ…!フハハハッ!」
ミュウツーが空中に浮かび上がると、次の瞬間、眼前からロケット団みんなまとめてテレポートで存在を消してしまった。
一瞬前までの喧騒が嘘のように、洞窟はがらんどうとなり、静寂に包まれる。
「すごいパワー…あれだけの数をテレポートで連れて行っちゃうなんて…」
「ごめんナナちゃん、逃しちゃった」
「謝らないでコトネちゃん!みんなのおかげでNもシルバーくんも無事だし、ロケット団は何もできずに帰ったし!」
「その通り!お前らよくやった!」
不意にグリーンの声が洞窟内に響き渡り、途端にあいつの表情がパッと明るくなった。
「グリーン!レッド!」
嬉しそうにグリーンに向かって駆けていく。
そんなあいつを横目に、オーダイルの傷を治してモンスターボールへと戻した。