第10章 親子のカタチ
ホウオウをボールに戻し、地面を見つめながら震える拳をきつく握りしめる。
オレはオレのやり方で強くなろうとずっと足掻いてきた。
あいつにあってオレにないものを探したり、ポケモンへの愛情とか信頼がたりないって言われて力の差を見せつけられたり、目に見えないもんばかり追い求めて、自分の弱さにうんざりしながら、それでもオレにしか歩けないであろう道を進んできたつもりだった。
だけど、まだまだだった。
ホウオウがいるのに、オヤジの足元にも及ばなかった。
オレは、強くなったと過信していただけだったのか?
最強への道はまだこんなに遠いのかよ…。
教えてくれ……オレは、今まで何をしていた?
オレは…——
突然ポリゴンフォンが鳴り、オヤジが電話に出る。
「わたしだ。こちらは片付いた。そちらの状況は——なに?全滅?」
「シルバー!」
「シルバーくん!」
洞窟内にふたつの声が反響する。
おせっかいなふたりのお出ましだ。頼んでもないのにまたそうやってオレに付きまとう。
オヤジは電話を切り、静かにヒビキたちへと視線を向けた。
「キミたちか。見張りを倒したのは」
「ここに来るまでに会ったロケット団はみんなあたしたちがやっつけたよ!」
「あなたたちの好きにはさせない!」
コトネとクリスも現れる。ここにこいつらが来たということは、Nとゼクロムは安全な場所で待機してるんだろう。
「サカキ様、ここは我々にお任せください」