第10章 親子のカタチ
「フハハハッ!お前のそのプライドにだけは敬意を表し、ロケット団がパシオで手に入れたこの力を見せてやろう!組織の研究成果、バディーズダイマックスをな!」
「なんだと!?」
今、確かにオヤジは「研究」と言った。つまり、オレたちの予想通り、あの保護したトゲピーは実験に利用されていたようだ。
Nが聞いたらどれだけ心を痛めるだろう。なんて、勝負の最中に考えることじゃない。オレも随分お人好しになったもんだ。
前方を睨み据える。
オヤジが指を鳴らすと、ニドキングはみるみる巨大化し、オレの視界に収まらないほどの巨体になった。
ダイマックスポケモンはパシオに来て初めて見たが、何度見ても大きさと迫力に圧倒される。
「ホウオウ!迎え撃つぞ!」
バディストーンがオレとホウオウに呼応する。
オレたちのバディーズわざだって、随分精度を上げたんだ。身体の大きさで劣っても、威力、攻撃範囲なら自信がある。
応えてくれ…ホウオウ…!
だが、現実はオレの想像を軽々と超えていく。
「ダイアシッド!」
「なっ!?」
驚愕の声をあげる。
何が起きたのか一瞬わからなかった。
ホウオウがバディーズわざを発動しようとした瞬間、避けきれないほどの広範囲に高火力の攻撃が放たれ、ホウオウに直撃する。
「ホウオウ!」
急いでホウオウへと駆け寄るが、ホウオウは既に戦闘不能になっていた。
ニドキングは元の姿に戻り、オヤジの横で得意げに咆哮する。
「フッ、口ほどにもない。所詮ひとりではそれが限界。お前はわたしを止められなかった。イッシュの伝説ポケモンはロケット団のものだ」
オヤジの言葉が頭の中で何度も響き、視界が揺れた。