第10章 親子のカタチ
先に帰ったのかと思ったけど、いくら一匹狼なシルバーくんだって、この状況で何も告げずに去るとは思えない。
「もしかしたら、洞窟に戻ってるのかも」
サカキはシルバーくんの父親だ。会いに行っている可能性は高い。
「そうか、シルバーはサカキと…」
「あの状況でひとりは危険だよ!ボクらも戻ろう」
「いえ、ゼクロムとレシラムはロケット団が狙っていたから遠ざけた方がいいと思う。私が見てくるからふたりはここで待ってて」
「ならわたし達も行くわ!」
聞き覚えのある声がして振り返ると、シルバーくんの友達のクリスちゃんの姿があった。ヒビキくん、コトネちゃんも一緒だ。
「みんな!来てくれたんだ!」
「グリーンさんに言われたから駆けつけたの!遅くなってごめんね」
「で、洞窟内で何が起きたかボクらにも教えてくれる?」
私は、元々のきっかけだったゲーチスとのやり取りも含めて3人に報告した。サカキとシルバーくんの関係性をみんながどこまで知っているのかわからなかったので詳細は伏せて、洞窟にひとりで戻った可能性が高いと伝えると、ヒビキくんは悔しそうに拳を握り締める。
「きっとシルバーのことだから、助けに行ったら余計なお世話だって言うだろうけど、それはボクだってそうだ!たったひとりで行かないで、ひと言相談してくれたっていいじゃないか…!」
「行きましょう!シルバーのところへ!」
クリスちゃんの言葉に、私とコトネちゃんも頷く。
「Nとトウヤくんは待ってて!すぐに戻る!」
シルバーくんの無事を祈りながら、ヒビキくんたちと再び洞窟へと足を踏み入れた。
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