第10章 親子のカタチ
サカキがミュウツーに命令すると、強大なサイコブレイクがホウオウとサンダースに向かい同時に放たれた。
2匹は瞬時に力つき、モンスターボールへと戻っていく。
圧倒的な力の差を見せつけられ、私とシルバーくんは呆然とその場に立ち尽くした。
「そんな…こんなにあっけなく…」
それまで、戦いの様子を余裕げな面持ちで見ていたゲーチスは、静かな足取りでゼクロムへと近づく。
「見事でした。では、始めましょうか」
「はい!」
スーツのブレイク団が道を開けるように跪いた。
「今こそ、ふたつの力を併せ持つ伝説のポケモンをワタクシの手中に収める!キュレムとゼクロムを合体させるのです!」
「やめてくださいっ、とうさん!」
ゼクロムが今まさに取り込まれようとした時、サカキが予想外の動きを見せた。
「アポロ!」
「はい!」
暗闇から飛び出してきたアポロと呼ばれたロケット団の男が、マルマインでキュレムにでんじはを浴びせて動きを鈍らせる。
「合体が…止まった…?」
Nが目を見張る。その視線の先——ゲーチスが、気味が悪いほど落ち着いた所作でサカキへと向き直った。
「どういうつもりです?」
サカキは何も言わず、嘲笑うように口元に微笑を浮かべている。
「答えるのです…サカキッ!!」
鬼気迫る表情で、ゲーチスが乱暴に杖をドンと鳴らした。