第10章 親子のカタチ
「シルバーくん!ゼクロムを助けよう!」
「言われなくてもそのつもりだ」
ふたりでNとゼクロムを庇うように前に出る。
今の私には仲間がいる。この前のようにもう隙は見せない。
「サンダース!スリーパーを止めて!」
ゼクロムを捕らえているスリーパーに向かい、サンダースが電気を帯びた身体でとっしんしようとすると、すかさずキュレムが氷の壁でそれを阻止しようとする。けれど、ホウオウの焔が分厚い氷を瞬時に溶かしてゆく。
「今だ!」
「うん!」
道が開けたサンダースはスリーパーにワイルドボルトを直撃させた。スリーパーは地面に身体を打ち付ける。
「ほう?どうやら口だけではないようですね」
「くそうっ!だが、ゲーチス様の邪魔はさせません!」
ひるんで一瞬術が解けかけたものの、スリーパーは体勢を立て直し、再び私たちの前に立ち塞がった。
シルバーくんが距離を詰める。
「もう諦めろ。お前に勝ち目はない」
「く…っ!ここまでか…!」
ホウオウがトドメを刺そうと攻撃の構えを見せた瞬間、突然、ゲーチスの背後から男の人の声が響いた。
「邪魔をしないでもらおうか」
「っ!!」
声を聞き、シルバーくんが一瞬固まる。
男の人が指を鳴らすと、私たちの前に大きなポケモンが姿を現した。
その圧倒的な存在感に驚き足がすくむ。
ミュウツーの存在は知っていた。けれど、その姿は初めて見た。