第3章 Ever green!②
「しっかりしろ。着いたぜ」
「うぅ…」
ピジョットはゆるやかに速度を落とし、羽根を広げながらゆっくり着地した。
揺れる視界の前、洞窟が口を開けて待ち構えている。
グリーンは先にピジョットから降りると、ぐったり項垂れる私の手を引いた。
「おいだいじょ……って、ハハハッ!これくらいで泣いてんのか?」
涙目の私を見るなり、お腹を抱えて笑い声を上げている。
さっきからなんでそんなに楽しそうなのか。私がどれほど恐怖に心が蝕まれていたのか、ちっとも分かっていない。
「最高にスリリングで刺激的な飛行だったろ!」
結んだ手を払いそっぽを向くけど、グリーンは気にする素振りも見せずに続ける。
「しっかしお前、必死こいてオレにくっついてぎゃーぎゃー喚いてよ。傑作だぜ」
こちらは危うく気を失って落ちかけたのに、そんなことお構いなしにひとりで盛り上がっている。
「どうした?もしかして怒ってんのか?」
心優しいピジョットは、私を気遣い心配そうにこちらを見ている。
「ありがとうピジョット。怖かったけど、おかげできっと私たちが1番乗りだよ」
「おい、オレは無視かよ!」
文字通り無視してピジョットの羽をそっと撫でていると、グリーンがピジョットに労いの言葉をかけながらモンスターボールへと戻した。