第10章 親子のカタチ
前を歩くNさんに、気になっていたことを聞いてみる。
「あの、Nさんって本当にポケモンの声がわかるんですか?」
「うん。ボクにはポケモンたちの声が聞こえるんだ。何を思っているのか、どう感じているのかとかね。問いかけると頭の中に響くんだ」
「すごい…ですね」
本当にそんな人がいるなんて。にわかには信じがたい話だけど、Nさんが嘘つくとは思えない。何より、不思議な雰囲気かつカリスマ性のあるNさんならありえるな、と妙に納得してしまった。
口を閉ざす私を見て、Nさんは苦笑する。
「驚かせちゃったかな?どうやらこの力は変わってるみたいで、バケモノと呼ばれたりもしたんだ」
悲しい話を笑顔で話すから、胸の奥がツンと痛くなった。