第10章 親子のカタチ
「昨日、Nさんの話を聞いて、自分にできることならなんでも手伝いたい、そう思ったんです」
「アリガトウ、ナナ。心強いよ」
「とは言っても私たちだけじゃ時間がかかるので、ポケモンにも手伝ってもらいましょうか」
と言いながら、モンスターボールから2匹のポケモンを呼び出した。
「サンダースとカモネギだね。こっちのトモダチははじめましてだね」
カモネギと目が合うと、Nさんは嬉しそうに微笑んだ。
「WPMにはサンダースでエントリーしてるけど、一応手持ちは6匹いて、他の子もちゃんと特訓してるんですよ」
「そうなのか。このカモネギは…カントーで仲間になったんだね。フフッ、キミが泣き虫だから守りたい、とってもスキって言ってる」
「たしかに私は泣き虫だしこの子はゆうかんだけど、“言ってる”って、まるで本当にポケモンの気持ちがわかるみたいですね」
「うん、わかるよ。聴こえてくるんだ。ポケモンの声が……」
と言いながら、Nさんはじっと2匹を見つめた。
「…調査前にきのみがほしいらしい」
「わ、わかりましたっ!」
2匹にきのみをあげると、嬉しそうにかぶりつく。きのみを頬張る2匹に向かい、ポリゴンフォンの画面を見せた。
「サンダース、いい?このおじさんを見かけたらすぐに教えてね。カモネギは空から探してくれる?あと、異変があったらすぐに戻ってくるんだよ」
2匹はかわいく鳴き声で返事をすると、森の捜索を開始した。私のカモネギはサイズが小さすぎて背中には乗れないため、Nさんと歩いて探すことにする。というより、今回のお手伝いもはじめはグリーンに反対され、「絶対にひとりにはならない」というのが手伝う条件だったので、Nさんにはそのことを説明していた。
Nさんはゼクロムに手伝ってもらっている。頭上に飛ぶゼクロムを見上げれば、かっこいいフォルムにホレボレだ。あとで調べてわかったけど、やはりゼクロムも伝説のポケモンだった。
パシオにいると、伝説ポケモンを連れているトレーナーがいっぱいいて麻痺してしまうけど、普通に考えてすごいことだ。神話や図鑑でしか見たことなかったポケモンを間近で拝める日々に感謝しよう。