第9章 ※チームメイト
ヤナギさんに挑むために氷河エリアに戻った私たちは、気持ちを新たにリベンジを挑んだ。
序盤でサンダースは集中攻撃を受けてダウン寸前に。だけどゾロアークがアシストして敵の隙を作り、ホウオウがバディーズわざでヤナギさんチームにトドメの一撃という、作戦通りの鮮やかな連携で勝利を掴み取った。
「ヤナギさん…今度はどうでしょうか?」
勝負を終えた後、恐る恐るヤナギさんに尋ねる。
バッジが相応しいかどうか、それはWPMリーダーの判断に委ねられる。今度は認めてくれるだろうか。
ヤナギさんは無言のまま、じっと私たち3人の顔を見据える。その瞳には氷のような静けさと、長年の経験を積んだ者にしか宿らないであろうするどい眼光を持ち合わせている。こちらの覚悟を見極めるかのように、黙って思案しているようだった。
言葉を待つ私たちに緊張が走る。こごえるような風が吹き抜ける中、ヤナギさんはふっと目を細めた。
「……うむ、実力、結束力共に申し分ない。キミたちにこのユニティバッジを渡そう」
嬉しさと驚きで、思わず目を見開いた。
「あ、ありがとうございます!」
ヤナギさんからバッジを受け取り、ふたりに向かって誇らしげにかざし、えっへん!とお披露目する。
シルバーくんもNさんも、ホッとした様子で顔を緩ませた。
「ユニティバッジは“団結”を意味する。個々の実力はあっても、WPMで求められるのはチームの結束力。今のキミたちはそれが備わっていた。先の勝負で何か気づきがあったようだね。おめでとう!」
厳しい顔つきだったヤナギさんが、硬い表情を崩し、穏やかな笑顔で祝福の言葉をくれた。
「私、ヤナギさんのおかげで仲間のことをもっとわかることができました。本当にありがとうございました!」
「それはよかった。かけがえのない時間を友と過ごし、キミたちが実りある青春を過ごせることを祈っておるよ」
「はい…がんばります!ありがとうございます!」
その後、ヤナギさんと別れて氷河エリアから出た私たちは、その日のうちにWPM本戦の受付に向かった。