第9章 ※チームメイト
草原を見やると、サンダースとゾロアークはじゃれあい、ホウオウは私たちを見守るようにじっとこちらを見据えている。ゾロアークはNさんの視線に気がつくと、嬉しそうに鳴き声を上げた。
「私ね、さっきの勝負はふたりに任せっきりだった。だから次は前線に出て陽動になろうかなって」
「なるほど。それならゾロアークはサンダースをサポートするよ。幻影を見せて惑わせたり、面白い連携ができるかもしれない」
「で、オレが全部仕留めればいいんだな」
「うんうん!ヤナギさんはこおりタイプだから、今回はシルバーくんがメインアタッカーで、私とNさんで相手の隙を作っていくようにしよう」
「言われなくたってオレが倒す。足引っ張んなよ」
「シルバーくんもね」
「オレが負けるわけないだろ」
「勝ち負けじゃなくて、チームワークを見せないとでしょ」
「チッ、面倒だな」
私とシルバーくんのやり取りを観察していたNさんが、堪えきれないといった様子で笑みをこぼす。
「あははっ、ナナとシルバーは実に興味深いね。異なる思想や価値観が混ざり合い、ふたりの関係に化学変化が起きる。その変化でどんな関係性を築いていくのか……この複雑に絡み合った数式の解を見届けたいよ!」
なんかNさんが理数系なメイちゃんみたいなことを言い出した。
「Nさんごめんなさい、全然わかりません!」
「ああゴメン、つい熱くなってしまったみたいだね」
「……らちが開かない!オレひとりで全部やる」
「だからっ、それじゃあまたバッジもらえないよ!」
こうして、とても協調性があるとは言い難い私たちの作戦会議は、あっちへ行ったりこっちへ来たり、紆余曲折を繰り返しながら夕方まで続くのだった。