第9章 ※チームメイト
「いなくなってからお父さんには会ったの?」
シルバーくんは「いや」と否定しながら答える。
「オヤジには干渉しないと決めている。まぁ、パシオでまた何か企んでいるみたいだから、嫌でも顔を合わせることにはなるだろうけどな」
名前こそ直接口にはしないものの、その言葉は、サカキが父親だと暗に認めているようなものだ。
「最後にオヤジに会った日、オレは自分に誓った。オレはオヤジのようにはならない。ひとりで強くなって、誰にも頼らずに生きてやるって」
やっとわかった。
シルバーくんが「ひとり」にこだわる理由は、彼の生い立ちに隠されていたんだ。
「おい」
「は、はいっ!」
「甘っちょろいお前にひとつ教えておいてやる」
シルバーくんの鋭い視線が私をまっすぐ睨む。緊張しながら次の言葉を待つ。
「誰もがみんな、お前みたいに守られて育ったと思うな」
そう告げると、シルバーくんはくるりと背中を向けた。
「……道を間違えても、転んでも、がむしゃらに進むしかオレにはできなかったんだ」
シルバーくんの肩が微かに震えている。
「だからオレは、あの頃の自分を認めて乗り越えないといけない。いいや、必ず超えてみせる。オレはオレのやり方で最強を証明してやるんだ…!」